ビブリア古書堂の事件手帖を読んでみた

ビブリア古書堂の事件手帖
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あっさりとしていて分かりやすく読みやすいと思う

図書館へ寄った折にこの本を見つけて「図書館にラノベが置いてあるなんてすげえな」と思い借りてみました。

存在自体はだいぶ前から知っていました。本屋で見かけた折に、表紙に美人さんが描かれていて気になっていましたから。

ひととおり読んでみた感想は、「地味めな話かと思いきや、分かりやすくさっぱりとしていて読みやすい」です。古書をうまいこと物語に絡めつつ、隠された秘密はセンセーショナルで分かりやすい。展開も早くてすぐに読み終えてしまえるくらいに読みやすいです。

栞子さんの存在

ただ読んでいて引っかかる点が1つだけあるのです。それはビブリア古書堂の女主人である篠川栞子さんです。

栞子さんというキャラクターが好きになれないわけではないのです。実際に栞子さんのような人がいたら嫌いにならないわけがないじゃないですか。いや、むしろ超お近づきになりたい。しかも人見知りで自分以外の人になびく心配がないんだ、なんてことまで考慮されているんです。主人公の五浦大輔に嫉妬します。

キャラクターの存在云々というより、もっとメタ的な視点で引っかかってしまうという感じです。

美人で巨乳で博学で鋭い洞察力を持っていて、人見知りで普段はしどろもどろだけど本のことに関してだけは自信たっぷりに饒舌になる。このキャラクターが「ほら、こういうの好きだろ、読め読めー」みたいな押し売り感があってモヤっとするのです。まるで不必要なまでにパンチラシーンを織り込んだ深夜アニメを見ている時のような気分・・・とはちょっと違うか。眼前にニンジンをぶら下げられた馬になったような気分の方が合ってるかもしれません。

単なる被害妄想かもしれませんが、読んでて微妙に引っかかりを覚えてしまいました。主人公の五浦大輔の「本に興味はあるけど読めない体質」も、栞子さんとくっつけるためのこじつけのように感じてしまいます。大輔に関していえばそれ以外の部分がものすごく共感できるというか、その行動がとても自然に感じられるので、余計にこの部分が浮いて感じられて気になってしまいました。

生理的に受け付けないという話ではないですし、別にこの作品をけなす意図があるわけでもないのですけど、どうも気になってしまって・・・。

話の構成はとても好き

キャラクターがあからさますぎて気になるとは言いつつも、結構楽しく読めました。話の構成はとても私好みでして、それゆえにキャラクターの引っ掛かりが強調されてしまったようにも思います。

この本は4話構成で、各話それぞれで話は完結します。ですが第4話は、それまでの3編の話が伏線となって回収されていく構成になっているのです。

私はこういう前のエピソードが実は関係のある話だったという展開が好きでして、「あ、あの部分とつながるのか」ってわかった瞬間に感じる驚きだったり高揚感だったりが好きなんです。この本はその点、どれか1つだけではなくすべてのエピソードが絡んでくる辺りがとても良かったです。

描かれるキャラクターの心理の綾も、いい味出してるなあと思います。3話の坂口夫妻は特にお気に入りです。読んでてなんかほっこりしました。最初は遺産狙いの後妻の計略かと身構えたんですけど、全然違いましたね。

最後に主人公の五浦大輔がビブリア古書堂のバイトを辞める展開は素晴らしいと思いました。この展開がなければ続きを読もうとは思わなかったでしょう。それくらい意表をついた展開で、それでいてキャラクターの心理からすればとても自然な流れでした。

本が読めない体質っていうのには違和感を感じますけど、そもそも五浦大輔のキャラクターは好きです。その彼が「お近づきになりたいな」と思っていた女性のもとで働けて、徐々に打ち解けてきたなと本人は思っていたのに、実はまったく信頼されてなかったことが分かって彼女の元を去るっていう展開がわりと衝撃的でした。でもそれゆえにとても新鮮で、意外で、でも当然だよなという自然さがあってとても良かったです。

読了感は最高に良くて、最初から感じていた違和感は吹っ飛んでくれました。

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