自転車用のリュックにドイターRACE EXP AIRを購入した

RACE EXP AIR
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夏場に自転車で使うリュックとしては最強だが、普段遣いのリュックとしてはややピーキーすぎるか

基本的にこれまで自転車で長距離を移動するとき(片道20kmクラス)、私は荷物を背負ったことがなかった。 だから今まで知らなかったのである。 暑い夏場に普通のリュックを背負ってロングライドすると、えらいことになるということに。

普通のリュックは無理ゲー

リュックが背中に密着するせいで、背中は一面汗まみれになる。 夏場に自転車長距離走ると脇汗が大変だよなと思っていたけれども、それどころではないレベルで背中が汗でぐっしょりとなる。 さらにリュックの肩紐の当たる部分も、汗で濡れた部分がくっきりとラインとなって浮かび上がっていた。 リュックを背負ったままならその汗まみれのラインは隠れるわけだが、そのままではひどく不快である。 かといってリュックを下ろしてしまうと汗のラインがくっきりと目立ってしまう。

さらに問題は汗だけではない。 リュックに入れる荷物が増えると、自転車に乗って前傾姿勢を取るときにめちゃくちゃ窮屈になる。 荷物の増えたリュックに引っ張られるせいで、体を前に傾けようとしても肩のあたりからぐいっと後ろに引っ張られるような感じになってしまい、ただでさえ疲れている帰り道が余計にしんどくなってしまった。

自転車で長距離を走って買い物に出かけるのは、普通のリュックだと難しいことを理解した。

自転車用のリュックを買う

普通のリュックじゃだめだなと、自転車で使うためのリュックを購入することにした。

調べたらドイターが鉄板らしい。 背中は蒸れにくい工夫がされ、肩紐も同様、さらには前傾姿勢が取りやすいような工夫もされていると。 なんだ完璧じゃないか。

私のこれまでの傾向から使用頻度があまり高くなさそうなので、実際に買うまではかなりの葛藤があった。 実際今の今まで長距離+リュックで移動というシーンがなかったのだから、別に自転車用のリュックを買わずともよいのではないかとしばらく悩んだ。 価格もそれなりにするし。 しかし自転車専用というだけでなく、普段使うリュックを新調するつもりで買うことにした。

私が購入したのはドイターRACE EXP AIRという製品。 背中の部分がメッシュになっているというか、背中の形に合わせた湾曲したフレームが入っていて、メッシュ状の背中に当たる部分とリュック本体との間に空間が作られている。 荷物が密着しないので背中が蒸れない仕組みになっているわけだ。

自転車に特化していることの意味

実際に製品を目にした第一印象は「思ったより小さい」だった。 この製品はリュックの底の部分が狭くて、逆に開口部のほうが広い作りになっている。 一般的なリュックを逆さまにしたような形だ。 公式ページの商品の写真からは野暮ったい印象を受けたのだが、届いた実物を見るとなんかシュッとしている。 むしろ商品写真なんであんなに見た目悪い感じがするんだろうか。 (パンパンに膨らんだ状態で撮影してあるからだろうか?)

その特徴はなんと言っても背中に当たる部分に入っているフレームだろう。 このフレームが有るおかげで背中の部分が完全に体と密着しない。 だから蒸れずに背中が汗びっしょりになることが防げる。

前傾姿勢をとったときの背中の湾曲に合わせた形になっており、自転車に乗ったときにもっとも楽になる。 前傾姿勢を取ると荷物の重さが背中全体にまんべんなく分散される感じで、普通に背負っているときに比べて荷物が軽く感じられる。 この感覚はちょっと不思議で面白い。 よくできていると思う。

基本的にリュックの形が変わらない(横に膨らんだりしない)ので、自転車に乗ったときに荷物に振り回されにくいのもまた利点である。 リュックと背中の間に空間が用意されているとはいえ、背中と直接当たるメッシュ状のフレーム、胸とお腹の部分の留め具を使うことでリュック自体は体にしっかりとフィットする。 荷物に振り回されにくいのはいいことだ。

雑に荷物を放り込めない

しかし一方で、この背中のフレームは自転車から離れるとデメリットになる。 このリュック、思った以上に荷物が入らない。

このリュックを一言表すなら、「コンパクトな背負えるスーツケース」がぴったりだと思う。

このリュックは雑に荷物を放り込むことができない。 湾曲したフレームとリュックの底面が狭い形であること、さらに柔軟性に乏しい生地が相まって、荷物を容量いっぱいに詰め込むためにはかなり工夫が必要になる。

リュック自体の形がほとんど変わらないのは、これはある意味メリットでもあるのだけれど、とりあえず適当に荷物を放り込めないのは覚悟しておくべきだ。

たとえば、13インチのMacBook Proを保護ケース含めてこのリュックに入れると、もうそれだけで他の荷物が入らない。 自転車に乗るときにパソコン入れねえよという突っ込みもあるかと思うが、私も自転車に乗って長距離移動するときにはパソコンは持ち運ばない。 これは自転車に乗るとき以外に私が普段遣いで使ったときにたまたま入れた荷物がパソコンだったというだけの話である。 13インチで横幅などがぎりぎりなので、15インチは入らないと思う(たぶんだけど)。 リュックの所々にスペースは余るので、他のものが入らないは言いすぎだが、パソコン+もう1つなにかメインなものを入れるというのは難しいと思う。

ざっくりとしたイメージではあるが、図にするとこんな感じだ。

Notepc

青いのがノートPCだと思っていただきたい(若干縮尺おかしいが)。 左が横から見た図、右は正面から。 横から見た図でいうと、底の部分に若干のスペースがある見えると思うが、ここにアダプタはいい感じに収まる。 収まるが、この底の部分のデッドスペースにはノートパソコンを入れた状態ではアクセスできない。 ここの隙間に荷物を入れたり取り出したりするには、まずノートパソコンを取り出さないといけなくなってしまうのだ。

リュックの生地は伸びないし、湾曲した背中部分のフレームはかなり頑丈なので、この図の形からリュックの形はほとんど変わらないと思っていただいて差し支えない。 適当に荷物を入れるか大きい荷物を入れると、そもそも入らなかったり無駄なデッドスペースが生まれてしまったりする。 これが私がこのリュックをスーツケースっぽいと形容する所以である。 効率よく荷物を詰め込む、また入れる順番を考えなければ収納できないというところが、実にスーツケースで荷造りをしているときに似ている。 リュックの収納でそこまで頭を使わないといけないのかという点で、普段遣いには若干厳しいものを感じる。

普通のリュックなら、入れる荷物に合わせてリュックが柔軟に対応してくれるのだが(基本的には膨れ上がることによって)、このリュックはそうではない。 リュックの形に入れる荷物を合わせないといけない。

Amazonのレビューで弁当箱が入らないというレビューを見かけたが、確かにそのとおりだと思う。 弁当箱だけなら入るだろう、他の荷物を入れないのであれば。 ただ、パソコン+弁当箱は不可能だろう。

リュックは空の状態でTSUTAYAにいき、コミック22冊を借りてリュックに詰め込むことはできた。 入れ方に頭を使って、それでいて結構ギリギリだったけれども。

荷物にアクセスしづらい

リュックの長さは46cmあって、これ自体は普通のリュックと変わりないはずなのだが、やたらと荷物の出し入れがやりにくい。 横幅が狭いわりに深さだけはしっかりあるので、長さの割にそれを有効に活用できる気がしない。 真ん中あたりに仕切りがあったほうがまだ使いやすいのではないかと思うくらいだ。

荷物を出し入れするのに、リュックのチャックを少し開けて出し入れするのがものすごくやりにくい。 荷物の出し入れをする=ファスナーを全開にしてベロンと開けなければならないといっても過言ではない。 普通のリュックであれば、開口部を少し開けて手をつっこみ、ガサゴソと荷物を漁って目的のものを取り出すということができる。 別にこのリュックもできないわけではないが、リュックを中空に抱えた状態で中身を出す、というのはやりづらかった。 こういう点でもスーツケースっぽいという印象を受ける。

普段遣いにも使えるか

収納スペース自体は広いのだが、形が決められており、その広さを有効活用するには計画的な収納が必要となる。 服など荷物側が柔軟に形を変えられるのであれば収納スペースを活用しきれるだろうが、やっぱり自転車に特化したリュックであって、普段遣いに適したリュックとはいえない気がする。 とりあえずあれもこれも入れておこう的な使い方は厳しいだろう。 使えないことはないけれど、やはり雑に使えないので普段遣いをするという観点では適さないだろう。 出先で荷物が増えたときに、中の荷物を全部取り出してあらためて詰め直さないといけなくなる姿が容易に想像できてしまう。

自転車に乗るときのリュックとしてはこれ以上に適したものはない。 びっくりするくらいに快適だ。 しかし一方で荷物を入れるリュックとしては使いにくいと感じた。 今まで何も考えずに適当にリュックに荷物を突っ込むという使い方をしていたからそう感じてしまうのかもしれない。

意識改革すれば逆に使いやすくなるのかもしれないとも思う。 ボディバックに近いフィット感があって、直立した状態で背負っても結構快適ではあるから。 ただ、今までリュックを雑に扱っていただけに、慣れるまではまだしばらくかかりそうだ。

購入を考えている人へのアドバイス

自転車で使うリュックとしてはこれ以上に適したリュックはないと断言できる。 もう本当に、自転車のためだけに特化してる。 清々しいまでに特化している。 そもそも普段遣いでも使おうなんて考えが甘かったのであって、この製品は悪くない。 それくらいに自転車に乗ったときの使用感は素晴らしい。 さすがに鉄板として挙げられるだけのものはあるなと思った。

ただ、リュックを使うということは荷物の持ち運びが目的となるわけで。 その荷物の持ち運びにおいて、このリュックは取捨選択を迫ってくる。

2018年モデル、買うならRACE AIRよりもジッパーでマチを広げられるRACE EXP AIRの方がいいと思う。 EXPでジッパー広げてようやくノートパソコ入れてちょっと余裕があるかなくらいの収納力なので、私はEXPにしといてよかったなと思っている。 というかEXPでも収納力が足らないと思うくらいなので。 EXPじゃない方はさらに容量が少ないわけで、着替えを入れるカバンとして使うくらいしかできない気がする。

Amazonのレビューでは、過去のモデルのほうが良かったという意見もあった。 それも1つの選択肢としてありだと思う。

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