SHIROBAKO 4巻で描かれる、チームでのモノづくりの醍醐味
SHIROBAKO4巻が届いたら、なんかやたらと分厚くて「何事?」とびっくりしました。今回はロロのモバイルクリーナーが特典としてついてました。
厚みがあるせいで箱が大きかったんですね。
SHIROBAKO第4巻は9話〜12話が収録されています。紆余曲折あった「えくそだすっ!」の最終話が完成するまでの、もっとも盛り上がる部分です。年末に放映された12話は「いい最終回だった」という感想がぴったりなお話でしたね。
今までまったく進まなかった最終話の絵コンテがようやくでき上がり、これでようやく最終話完成に向かって作業が始まることになってさあこれからというところになりました。しかしそこで新たに「馬100頭」登場するシーンが必要になるということで、「え?」って状態で終わったのが第3巻でした。
実際に描き上がった絵コンテにそのシーンがあります。馬100頭描くのも大変だけども、馬を馬らしく動かすことのできる人がそもそもいないこともあって、肝心の馬のシーンの原画を担当する人が見つかりません。最終話担当の宮森は、描いてくれる人を探して東奔西走します。
あらゆるツテを頼って原画をお願いしていくあおい。それでもどうしても馬のシーンを描いてくれる人がいない。
最終的に麻雀中(営業中)のナベPのところにアニメーターさんを紹介してもらいに突撃し、その場にいた夜鷹書房のお偉いさんから「菅野紹介しようか」と本人は冗談のつもりで言ったことを真に受け、本当に頼みに行ってしまいます。
結局原画を描いてもらうことはできなかったけども、その場で「自分とこのの杉江さんになんで頼まないの?」と、実は杉江さんがスゴイ人であることを教えてもらいます。
社内では「今風の絵柄では描けない」お荷物として扱われていた杉江さん。そんな杉江さんを中心に、武蔵野アニメーションのメンバーが一致団結して作業するシーンは感動的です。モノづくりっていいなぁって思えました。
意外とお茶目な小笠原さん
ブックレット読んではじめて気づきましたが、9話冒頭で小笠原さんが宮森に「安原さんの猫可愛い!!!」というメールを送ってたんですね・・・いやぁ細かい。ビックリマーク3つついてるあたりがポイント。
ゴスロリ様と呼ばれて厳格なイメージしかない小笠原さんですが、すでにこの時点で茶目っ気の片鱗を見せていたんだなぁ。一瞬のシーンなのでブックレットで触れられてなければずっと知らなかった気がします。
細かいところでキャラの深堀りが行われるSHIROBAKO、見るのも気が抜けません。TV放送だけでいろいろ気づいちゃう人たちはすごいなと思います。
だからこそブックレットの解説が毎回楽しみでもあります。
美沙の退職の決断
キャラとしては当番回なのに、いきなり相撲取り出す監督と本田さんといった他のキャラにいろいろと食われててかわいそう。コメンタリーでもいわれてたけども。
それはともかく、きっと美沙みたいな悩みを抱く人はいっぱいいるというか、ほとんどの人が一度は思ってしまうのではないかなと思います。
なりたいと願ったCGの仕事に携われて、しかも福利厚生まで充実している会社なのに、実際にやっていることは自分がやりたかったこととはズレてしまっている。このままでいいんだろうかっていう悩み。
- 仕事が面白くない
- 単純作業面倒くさい
- デスマーチで心が荒む
- 理不尽なしわ寄せによる精神的苦痛
- 上司の無理解
そんないろいろな要素が絡まって、「俺のやりたいことはこれじゃない」みたいなことを考えてしまうことってあると思います。
劇中でも出てきますが、結局はたどり着きたいところがどこなんだって問題なのだと思います。そこが明確になれば、自ずと今何をすべきなのかが見えてくる。
・・・でも実際には、そんな簡単にたどり着きたい場所が分かれば苦労しないですよね。劇中の宮森のように、「自分が目指す場所って何なんだろう・・・」って分からない人の方が多い気がします。ただ、分からない中でもやっていくことで見えてくることもあるわけです。分かっている方がすごいとかそういう話でもないと思うので、分からないからって気に病むことはないと思います。
ただ、たどり着きたいところが明確になってもいないのに、「なんか違う」と辞めてしまうのは良くないと思います。決断して辞めるのも1つの手ですけど、その結果「やっぱ辞めるんじゃなかった、戻りたい」とか思わなければですけどね。
それにしたって、美沙は担当回なのに3巻と4巻で区切られてたり、他のキャラに食われててかわいそう。
新人なのに面接官
大企業とかではあり得ないのでしょうけど、中小なら普通にあり得るんじゃないかなって思います。
宮森はすごい嫌がってましたけど、ちなみに私なら面接官超やりたい。就活生の命運を握って悦に浸りたい・・・からではなくて、単純にどういう人たちが自分の会社に入りたいと来ているのか興味があるからです。
ぶっちゃけた話、現場のことは現場の人間が一番分かっているわけで、一緒に働きたいかという視点で見る人が面接の決断の場にいるのは、とても理にかなったことだと思います。
庵野監督にそっくりな菅野さん
あおいが夜鷹書房のお偉いさんから紹介された菅野さん。どうでもいいことですが、私は放送当時は実際に登場シーンになるまで庵野監督のことだと分かりませんでした。(むしろ次回予告に映ってた杉江さんの奥さんを見て、アニメーターとまったく関係ないのに菅野よう子さんを思い浮かべていました)
TV放送で出てきた時はさすがに吹きました。コメンタリーでなんか触れられるのかなとか思ってましたが、特に触れられてませんでした。残念。敢えて触れないようにしてたのでしょうか・・・コメンタリーのトークが盛り上がってたのでそこまで話がいかなかっただけかもしれませんが。
改めて登場シーンを見ると、ソファーがエヴァカラーになってたんだなと今さら気づきました。TV放送のときは「庵野監督だ!」で頭がいっぱいだったんでしょうね。
それにしたって宮森の行動力には「すげーな」の一言です。もし宮森が、菅野監督のことを知っていたとしたら、どう行動していたのでしょうね。よく知らなかったから行けたのか、知っていたとしても行っていたのか。(自分だったら萎縮して頼みになんて行けないだろうなぁ・・・)
実はすごい人だった杉江さん
これに関しては今ひとつよくわからないというか、TV放送当時からずっと気にはなっていたことなんですが、実はものすごい人なのに社内の人には全然すごいと思われていないっていうのはあり得るのだろうかと。
物語上わかりやすくするために極端に描かれていただけなのでしょうか。
宮森が菅野監督のところに行ってはじめて杉江さんが実はスゴイ人だというのが分かるわけですが、それ以前に社内で誰も知らなかったのかと。宮森が知らないのはともかくとして、ナベPや本田さんすら知らなかったわけですからね。
もっとも、逆に杉江さんが「俺は昔すごかったんだぜ」とアピールしまくってたら、それはそれで嫌ですけども。
コメンタリーでこのあたりの話はP.A。の堀川さんがかなりこだわりを持ってたということが語られてました。「くすぶってるベテランの人たちに、もっと色々なことできるはずだろと背中を押したい」というような感じのことをおっしゃってました。
一区切りついた
Blu-ray・DVDは4巻で「えくそだすっ!」編の区切りを迎え、TV放送は最終回を迎えます。
私はこれを書いている時点では23話までしか見てなくて、最終回を楽しみにしているところです。23話はいい話でしたね。スカッとして、そして泣ける。
Blu-rayで改めて見ると、話の流れが分かっていても杉江さんのシーンとかうるっとくるものがあります。改めて、思い切って全巻予約してよかったなぁと思います。
Amazonのほしいものリストを公開しています。仕事で欲しいもの、単なる趣味としてほしいもの、リフレッシュのために欲しいものなどを登録しています。 寄贈いただけると泣いて喜びます。大したお礼はできませんが、よりよい情報発信へのモチベーションに繋がりますので、ご検討いただければ幸いです。