天鏡のアルデラミンが面白い

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン
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天鏡のアルデラミンが面白い。

久々にラノベにハマった。この作品に限らず、アニメを見てから原作を読む作品はいくつかあるのだけど、これほど自分にぴたりと合うものはなかったのでちょっとうれしい。ラノベなのにラノベっぽくないなあと読みながらずっと思ってた。

何がラノベっぽくないのか。それは無駄な描写がほとんどないところだ。たとえばキャラクター同士の関係性について、いちいちこと細かに説明しない。物語の中の言動で、キャラクター同士の絆の深さを表現しているところがよい。説明セリフが少ないのが好印象である。

また、これも個人的に嬉しいことだが、時系列の入れ替えがないことも挙げておかなければならないだろう。たとえばキャラクターが多く登場する小説にはよくある「一方その頃○○たちは・・・」という同時刻の別シーンの状況が描かれることはほとんど無い(たぶん皆無と言い切っていいと思う、作者があえてやっているような気がしているので)。また衝撃的なシーンを先に描いて、そこに至るまでの経緯を振り返って描写するという小細工も用いられていない。素直に時系列順に物語が進んでいくので、頭にすっと入ってくる。

そういうこともあって感情移入がしやすいのだと思う。ラノベだからと敬遠している人がいるとしたら、とてももったいないと思う。

自分でも驚いたのだけど、読んでてボロ泣きしてしまった。最初にボロ泣きしたのはマシューというキャラクターの成長するシーンなんだけども、それ以外でも目頭が熱くなることがしょっちゅうである。読んでいて自然と物語の世界に入り込めるのだ。

そもそも素材が面白い。アニメで使われたキャッチコピーである「約束された敗北へ向かう戦いの物語」が、この作品の骨子になると思うのだが、これがどういう結末を迎えるのかが知りたいから読み進めているのだ。その素材がしっかりしているから面白い。

帝国のお姫様であるシャミーユが、腐敗しきって機能していない政治から民を救済するため、戦争中である敵国にわざと負けることで帝政に終焉を打とうとするのが「約束された敗北へ向かう戦い」である。わざと負けると言っても、無条件降伏ではいけないところがミソである。戦後復興はあくまで元帝国の自分たちの手で行う形に持っていかないといけない。無条件降伏にすると「俺達はまだ戦える」とゲリラ的に抗戦するものたちが現れて、無辜の民にとってよい結果にはならない。だからうまいこと負けないといけないのだ。もうこの設定からして面白い。

その設定が面白いと思って読み進めていったら、魅力的なキャラクターたちの姿に目が離せなくなってくる。帝国はいったいどんな結末を迎えるのだろうと気になって読んでいたのに、次第にシャミーユの行き着く先がきになってくる。王族としては非の打ち所がないほどに優秀であるのに、一個人としてみるとひどく歪んだ育ち方をしているシャミーユ。そしてそんなシャミーユにかかった呪いをなんとかしようと動くイクタたち。その結果がどうなるかに目が離せなくなってくる。

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