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とある弁当屋の統計技師(データサイエンティスト) を読んだ感想

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とある弁当屋の統計技師(データサイエンティスト) ―データ分析のはじめかた―
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思っていたのとは違ったけれども、「統計使って分析してみたい」と思えるような本だった。

統計といえば、なんか難しそう、でも使いこなせたらカッコイイ。なんていうのが私の持っている印象です。私はこういった「難しいけど、なんかカッコ良さそう」というものに憧れる人なのです。ちょっと勉強してみたいなと思っていたので、初歩の初歩というこの本を買ってみることにしました。

タイトルは「とある弁当屋の統計技師(データサイエンティスト)」……タイトルからして、某ラノベのタイトルを彷彿とさせます

表紙も漫画チック。ただしところどころ挿絵があるだけで、中身はマンガ形式ではありません。その中身はちょっとした物語仕立てとなっているので読みやすいです。途中ややこしい話が出てきても、統計の用語や計算式などはとりあえず読み飛ばせばいい。むしろ、細かい説明は本書自体が省いていたりするところもあります。

内容は、とある弁当屋さんの売上を上げるために、統計を使って分析を行っていくという話です。

ストーリー仕立て

内容は入門的な内容ではありますが、統計の仕組みを分かりやすく説明しているわけではありませんでした。私は計算方法とか、数式の意味とかを分かりやすく解説しているのかと思って買ったのですが、そういう意味での入門とはちょっと違いました

ただ、思っていたのとはちょっと違いましたが、統計が身近に感じられるようになり、思いの外楽しめました

平均と言ってもいろいろある

とある弁当屋さんがPOSシステムを導入して、そのデータを分析してもらうという体で物語は始まります。

まずは売上の平均の話から始まり、平均と言っても平均値中央値とがあって、平均値だと、データの極端なばらつきの影響を受けやすいという話から始まり、データのばらつきについての話へと展開していきます。

この辺りから統計でよく出てくる分散標準偏差といった用語が出てきます。

曜日による売上の変動に意味はあるのか

そして実際に売上のデータを使って分析を行い始めます。例えば、曜日による売上への影響には意味があるのかどうかを分析します。この辺りは読んでいると「へぇ、統計ってこういう風に使っていくのか」となって面白いです。

曜日によって売上の変動がないと仮定して計算式に当てはめ、実際のデータを元にして検証します。その結果の信頼性を考慮し、信頼性がないとなれば立てた仮定、この場合は「曜日は売上に影響しない」という仮定が棄却され、すなわち「曜日による売上の影響は存在する」ということになります。

なんでこんな面倒くさい検証の仕方をするのかはよく分かりません(本書ではそういうものとして話が薦められている)。なんだかよくわからない部分もありますが、データを元に「こうやって検証していくのか」と分かり、統計がどのように使われているのかがとてもイメージしやすかったです

分析はトライアンドエラー

そうやって分析を行っていき、その結果を元に対策を立てて実行に移す。しかし、相関のないものを相関があるとしてしまったり、求めた仮説が誤りであることもあります。

本書の物語でも、仮説を元に売上アップのための施策を実行に移したものの、見事に失敗してしまいます。だがそれは当然のことで、そういったトライアンドエラーを繰り返して、より精度の高い仮説を導き出していくのが当たり前のこと。統計の世界でもPDCAサイクルで精度を高めていくのです。

実際に分析してみたいと思える内容

私が思っていた入門書とは、ちょっと毛色が異なっていました。本書に出てくる統計的な内容は、割とざっくりとしていて、「いや、なんでそうなるのかが知りたいんだけど・・・」という場面がいくつかありました。終わり方も中途半端で、一般的な小説で言う、起承転結の「結」の部分をすっ飛ばしたかのような感じで、若干物足りなさを覚えます。

しかし、実際に統計を使って自分でも分析してみたいと思わせる内容であり、そういう意味では「初歩の初歩を学べ」という文句は間違いではないと思います。ちょっとブログのアクセス解析を、統計を使って分析してみようかなんて思いました。そうやって実際に分析をしていくのが、統計を学ぶいい動機になるのかもしれません。

統計がどのように使われているのかを知るという意味で、いい入門書なのではないでしょうか。

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