オーディンスフィアレイヴスラシルを遊んでみた感想

オーディンスフィアレイヴスラシル
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ストーリーやばかった。アクション部分もわかってくれば奥深い。

私はPS2で発売されたときにこのゲームを遊んでいました。たぶんグウェンドリンはクリアしたとは思うんですが、最後まで遊ぶことはありませんでした。なんかもっさりしてて面倒くさかった記憶があります。

そんなこともあってか、当初はあまり興味を持っていなかったのですが、体験版をプレイしてみてその考えが変わり買ってしまいました。

体験版を遊んで感じたのは、いい意味で朧村正っぽいなというものでした。朧村正のようにガチャガチャやってるだけでもコンボがつながっていくのです。敵を空中に打ち上げて、ダッシュ攻撃を絡めつつお手玉していく。これが面白い。動きも軽快で、PS2版のときの悪い印象は雲散霧消してしまいました。

本編はこの軽快な戦闘+美麗なグラフィックを特徴とした上にストーリーが加わるのです。ちょっとやりたくなってしまいました。

これがゲームなのかと驚くストーリー

このゲームのもつストーリーと雰囲気は、なんともいえない荘厳さを持っています。ヘタな小説を読むよりずっと面白いと思うくらい、見事な作りをしていると思います。

グウェンドリンからしか始めることが出来ず、その後も新たにプレイ可能になるキャラクターの順番が固定されています。最初はなんでグウェンドリンから始めなければならないのだろう、遊ぶキャラクター選ばせてくれたらいいのにと思っていました。

しかし物語を進めていくうちに、その意図が分かってきて身震いする思いでした。この物語は1つの時間軸を、5人の主人公たちそれぞれの視点で描いていくという手法なのです。グウェンドリンのストーリーで描かれていなかった時間、もしくは同じ時間に、他のキャラクターから見るとこんなことが起こっていたというのが徐々に判明していくのです。

ゲームを遊ぶ観点から見ると、「俺はメルセデス使いたいんだよ、なんだよコルネリウスとかしらねーよ」といじましく感じることもあると思います。1キャラクターの物語もクリアするまでそれなりの時間を要するので、操作してみたいキャラがなかなか使えず、もどかしさを感じることもしばしばでした。

キャラクターを自由に選ばせてくれてもいいのにと思いましたが、この順番にもちゃんと意味がありました。それぞれのキャラクターの物語1つ1つは独立した起承転結を持っていますが、それでいてオーディンスフィアという1つの物語の一部でしか無いのです。5人の物語を終えることで、このゲームの真の姿が明らかになります。

今まで単なるおまけ要素でしかないと思っていたのに、テキストアーカイブにまで意味があることが分かってびっくりしました。まさかゲームのストーリーで、ヘタなミステリよりもミステリらしいストーリーが楽しめるなんて思いもしませんでした。今まで無関係だと思っていた個々の物語が1つにまとまって、真の姿を現した時の衝撃と言ったらありません。

物語の設定だとか雰囲気だとかも素晴らしいですが、何より魅せ方がすごいと思います。ゲームのストーリーで感動させられたのは実に久しぶりです。

このゲームはアリスという女の子が、屋根裏部屋で本を読んでいるという設定です。まさに小説を読んでいるかのようでした。

グラフィックがよい

いうまでもありませんが、グラフィックはさすがの一言につきます。

私はPS Vitaで遊びましたが、携帯機のVitaであってもグラフィックの美しさは、他のメーカーの追随を許さない出来だと思います。安心と信頼のヴァニラウェアです。

書き込みがすごいという意味で美しいのは当たり前ですが、ここまでやるのかと度肝を抜かれたのがキャラクターの芝居です。

キャラクターの細かいしぐさまでこだわりぬかれています。たとえば食べ物を食べた後に口許を拭ったり、指をペロッと舐めたり。動きに違和感がまったく無く、まるでこのキャラクターたちが本当に生きているように思えるくらいです。

しかしこれらのしぐさは、ゲーム中に何度も出てくる部分です。そこに力を入れるのは理解できるし、何度も目にするので新鮮さは和らいでいきます。それでもすごいと見とれてしまうのですけれども。

そんな中でも特に私が言葉を失ったのは、ストーリーのクライマックスで披露されるキャラクターの芝居です。抱き合ったり、抱き上げたり、顔をうずめたり。ストーリーのクライマックスで披露されるキャラクター渾身の芝居に、ここまでやるのかと驚かされました。

ストーリー自体のもつパワーもすごいんですが、その話の魅せ方も素晴らしい。話の盛り上がりも相まってゾクゾクしました。

アクションについて

このゲームの奥深さは、最終的にはアクション部分が楽しめるかどうかにかかっていると思います。

初めのうちはガチャガチャ適当にやってるだけでもコンボが繋がっていきますし、それで敵も倒せます。敵がわらわらよってきて、気づいたらタコ殴りにあって死んでたなんてこともありますが、基本的にはテキトーにやっててもクリアできます。

慣れてくると次のステップです。適当に操作するのではなく、狙ってコンボを叩き込むことを狙うようになります。こうなってくると実はタイミングが重要であることが分かってきます。地上攻撃から下タメ攻撃をつなぐタイミングが割りとシビアだったり、コンボのタイミングを微妙にずらすことで敵との位置を調整したり。慣れてくれば頭を使うようになります。

地上コンボで敵を浮かせたら、上昇攻撃につなげてそのまま空中コンボに移行する。空中攻撃の最後をダッシュ攻撃で敵を拾って、さらにコンボを繋げていく。このコンボの合間にスキル攻撃を挟む。狙ったとおりにコンボが決まると、適当にやっていたときには味わえない快感で満たされます。

そして最終的には敵の攻撃をすべて見切り、ノーダメージで倒す方法を模索していくのです。ここまでくるとかなり難しいですが、やり始めると意外と熱中します。

ここまで書くと敷居が高そうに感じるかもしれませんが、オーディンスフィアでは難易度設定が可能です。最初のうちはeasyで遊べばいいのです。このゲーム、難易度設定はアクション部分の難しさにしか影響がありません。死んでしまっても、その戦闘が始まる前の状態からすぐに再開できます(死んだ戦闘で使ったアイテムなんかも使う前に戻る親切設計)。そういうわけでアクション苦手な人にも考慮されています。

ですが先述したとおり、アクション部分の高みを目指そうとしないかぎり、このゲームはかなりボリューム不足に感じてしまうと思います。ストーリーをすべて堪能し終わってしまったらそこで終了となってしまうからです。

私の場合、ストーリーを堪能した後は「これで終わりか・・・相変わらずボリューム不足だな」と思いました。しかしストーリーが終わり、アクション部分だけに専念し始めると、徐々にアクション部分が楽しくなってきました。ボスをノーダメージで撃破するにはどうしたらいいかと試行錯誤していると、いつのまにか数時間も経っていたなんてことがザラです。

ベルベットの敵を掴んで叩きつけるスキルが最近のお気に入りです。ダウンした敵を拾えることに気づいてボス戦が楽しくなってきました。そういった「この攻撃とこの攻撃は繋がるのか」という新たな発見を探すのが楽しめるか。

ストーリーやグラフィック、音楽などがもつポテンシャルはとても高いです。しかしながら最終的にこのゲームを楽しめるどうか、ボリューム不足だなと感じるかどうかは、戦闘部分の深淵に挑もうとするかにかかっているのではないかなと思います。

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