なんだか元気が湧いてくるアニメ、SHIROBAKO Blu-ray第1巻をレビュー
私がなんでSHIROBAKOにハマったかというと、アニメ制作の舞台裏が見れるとか裏話的な内容が多いとか、そういう要素に惹かれたのもあります。しかし「おおっ」と食いついた最初のきっかけは、第1話の前半のシーンです。
アニメーション同好会に所属する女子高生5人が、学園祭に向けて自主制作アニメを作る。将来また一緒にアニメを作ろうといって希望にあふれる5人。ドーナツ片手に円陣組んで、なんでドーナツなんだろうとか思いながら見てました。
私はアニメは事前情報を仕入れずに、とりあえず第1話は撮るだけ撮ってそのまま見るかどうしようか決める人です。なので、当然SHIROBAKOがアニメ制作の現場を題材としたアニメだと知らずに見ていました。
「なんかよく分からん萌えアニメなんかな」と思っていた瞬間。さっきまで希望に溢れてた若々しい女子高生たちが映っていた場面が急に切り替わって、現実にやさぐれているヒロインの顔に切り替わったんです。いきなり2年半経って、「あー、だりー」って感じの表情に切り替わった時です。私が「おおっ?」と思ってこのSHIROBAKOに惹きつけられた瞬間は。その後いきなりカーチェイス(法定速度)し始めるし。
そこからのめり込みました。このアニメは面白いです。
それは「アニメってこうやって作られてるんだ」というのが分かるから面白いというのもあります。ただそれだけではないと思います。多分ですけど、アニメにそんなに詳しくない、アニメってそんなに見ないという人にも何かしら響くところがあると思うのです。
舞台は「アニメ制作の現場」ですが、その世界は思った以上に普通です(こんなことを書くとアニメ業界で働く人に失礼かもしれませんが)。なんかもっとチャラチャラしたというか、もっと適当な感じの世界だと勝手に思っていました。でも本当に失礼な物言いなんですが、ちゃんと社会人してます。めちゃくちゃ硬派な世界でした。硬派なというか、想像以上に普通の会社でした。フツーの会社に就職して、フツーに働いている人たちと大差ないです。
なのでアニメのことはよく分からないという人でも、SHIROBAKOの中で描かれているトラブルだったり働く人たちだったりを、自分自身に投影して見ることができると思います。
こういうトラブルメイカーいるよねとか、上流工程のトラブルの尻拭いするのは結局俺らなんだよねとか。ああ先輩に相談したいけどなかなか声かけづらいよねとか、この子新人のくせに有能すぎじゃねとか。それはもう、自分の身に置き換えていろいろと思うところがあるわけです。
それでも描かれている世界はアニメ制作という特殊な世界です。登場人物はやたら多く出てくるし、いろいろなトラブルが描かれるわけですが、それがどうヤバイのかまではよく分からないです。私も「このままじゃ放送に間に合わないんだな」という程度しか分かりません。分かりませんが、その程度の認識でもちゃんと楽しめるんですよね、テンポがとてもいいから。
だからアニメ制作特有の事情を、アニメのことをよく知らなくても、ある程度楽しめる作りになっていると思います。もちろん、描かれている内容やネタが分かればより楽しめるはずです。
情報量が多くて1回見ただけでは細かいところまで分からないことがありますから、繰り返し見ることで気づく発見がたくさんあります。私は総務の興津さんの机の上が意外とファンシーだということに、オーディオコメンタリーで取り上げられてはじめて気づきました。
ニコニコ動画で1話は無料で公開されています。気になる人は見てみてください。
本編について
Blu-ray第1巻には、第1話「明日に向かってえくそだすっ!」、第2話「あるぴんはいます!」、第3話「総集編はもういやだ」の3話が収録されています。
アニメーション制作に夢見る宮森あおいが主人公です。憧れを現実にして実際にアニメーション制作会社に就職します。その中で次々と舞い込むトラブルに翻弄されながらも、自身がはじめて担当する「えくそだすっ!」の第4話が完成するまでのお話となっています。
3話のラストは、劇中劇「えくそだすっ!」のヒロイン「あるぴん」の表情リテイク完成版が流れて終わるのですが、これがまた感動的です。
いろんなトラブルに翻弄されつつも、それでもいいものを作りたいという情熱からがんばる武蔵野アニメーションの面々を見ていると、見ているこっちまでアニメーション制作に参加している気分になってくるんですよね。だからこそ、最後に流れるリテイクカットがより一層感動的に見れるんです。「おおっ!」って思えるんです。それだけ感情移入できる作品です。
情報量のやたら多いアニメですが、分からなくても3話の最後リテイクカットのシーンに何かアツいものが感じられるように作られているのがすごいと思います。さらっと見ても面白い、深く知ればより面白い。なかなかニクイ作りになっています。
魅力的な登場人物たちにも目が離せません。「万策尽きた」が決め台詞の本田さん。こんな先輩いたら一生ついて行きたくなる矢野さん。トラブルを巻き起こす、こんな奴と一緒に仕事したくない筆頭のタロー。タローは見ているときは「お前ふざけんなよ」とイラッとすることばかりですが、冷静に考えてみるとドラマに変化を与えてくれるSHIROBAKOになくてはならないキャラクターです。
ちなみにBlu-ray第1巻の範囲だと、個人的には演出の山田さんが茶目っ気があって好きだなぁ(出番が多いというせいもあるだろうけれども)。
特典について
Blu-rayの特典は、次のような感じです。
- オーディオコメンタリー(キャスト・スタッフによるもの)
- 劇中劇えくそだすっ!の主題歌収録した特典CD
- P.A.WORKS潜入レポート企画編
- 特製ブックレット(37P)
ーディオコメンタリーはSHIROBAKO、アニメ制作についての話を本編で描かれるシーンを時折参考にしながら話していくスタイルでした。アニメ制作の現場を描くSHIROBAKOにはぴったりなチョイスなのかなと思いました。ただ、業界暴露話が聞けるわけではないので、過度の期待はしない方がいいと思います。
潜入レポートは思った以上にあっさりしてて拍子抜けでした。「潜入といいつつ単なるインタビュー映像やんっ」て思いながら見てました。
特典CDは第1話でヒロイン宮森あおいが、ラジオに合わせて歌っていたあの曲です。私の好きな感じの曲ではないんですけど、聞いていたらなんとなく中毒性があるような気がしないでもないです。
ブックレット
思っていたより薄いなと思ったのですが、全編フルカラーで意外と読み応えがありました。「このシーンはこうなってるけど、実際にはこうで・・・」という感じで、劇中で描かれていることの解説が細かくびっしりと書かれています。
企画・プロデューサーの堀川さんやメインキャストの木村さんのインタビューも載っています。
SHIROBAKOとは関係ないことですが、
「SHIROBAKO」からというより「グラスリップ」からなのですが、スタート段階では全体を通して伝えたいことを決めていない(P17)
ということが書かれていて、「なるほど」と思ってしまいました。
・・・なんかSHIROBAKO関係ない締めになってしまいました。このアニメ見た感想はは人それぞれなんでしょうけれども、私は創作意欲をかき立てられるというか、「モノづくりっていいな」って思えるいいアニメだと思いました。「よし、ちょっと頑張ってみるか」となんか元気がもらえるような気がします。
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