ノック式万年筆キュリダスを買ってみた
ノック式の万年筆を買った。万年筆を使うときにキャップの開け締めが地味に面倒くさいなあと思ったのがきっかけである。
キャップの開け閉めめんどくさい問題
振り返ってみると万年筆を使い始めてもう7年になるらしい。それまでずっとカクノを使っていて、これといった不満はなかった。というより選択の余地がない限り1は万年筆で書くくらいには他の筆記具を使わなくなった。
世の中にはノック式、つまりキャップがない万年筆があるらしいことを知った。知ってしまうと使い心地が気になってくるし、それまで特に気にしていなかったキャップの存在が気になってしまうから不思議である。
確かにいちいちキャップ開けるの面倒くさい。たった数文字程度のメモをとりたいときにいちいちキャップを外して作業に取り掛かるのは確かに手間である。それに単なる手間の問題ではなく、たとえば本を片手にちょっとメモをしたいときに、片手ではキャップを開けて万年筆で筆記することはできない。本を読んでいる間万年筆のキャップを外したままにしておくのもなんか違う気がする。
そうして一度気になり始めると、書いている間にキャップを置いておくスペースも無駄じゃないかとか感じるようになる。キャップを閉じるときにペン先がキャップの内側に触れてインクで汚れるとか、そんなことを考えだしたらキャップがすごい無駄に思えてくる。
もちろんキャップは必要だから存在している。万年筆は特にペン先を密封する必要がある。キャップのないノック式を実現するには、それはもう大変な苦労があるらしい。
だからノック式の万年筆は数が少ない。私が購入したプラチナのキュリダスか、パイロットのキャップレスか。他にもまだあるかもしれないが、1万円以内で買えるものとなれば、選択肢はこの2つになるだろう。
私は値段からキュリダスにした。キュリダスのほうが価格的には安い。プラスチックの外装でいわゆる『万年筆』というイメージとはちょっと違うやつだ。
しかし私はそもそもさらに万年筆とは程遠い外観のカクノを使っていたので、その点での忌避感は一切なかった。むしろ潔く価格の安い方を選んだわけだ。
ノック感
ただキュリダスは外観の他に、ノックのストロークが大きいという点が気になるかもしれない。
3cmくらいノックする部分を押し込むようになるので、手の小さい人だと出し入れが大変だろう。ボールペンとはあきらかに違うノック感である。3cm分押し込むわけだからボールペンのようにカチカチしたりするのは無理だ。
しかしそれは手間というわけではない。万年筆のキャップを開け締めすることを考えたら快適そのものである。なんといっても片手でできるのだから。
むしろこのしっかりとしたノック感はある意味で病みつきになりそうではある。かくいう私も、最初は違和感がすごかったが、このガッチリとした押し込みが必要な感覚、嫌いではない。「これから書くぞ」モードに入る儀式としても使えそう。
ただしその大きいストロークが胸ポケットに収納する際には下に来ることを忘れてはならない。胸ポケットにしまって持ち歩くのにはかなり抵抗がある。
インクの補充について
とはいえノック式の快適さは何者にも代えがたい。とにかく書き始めるまでのストレスが一切なくなった。
ノック式の快適さを知ってしまうと嫌でも思い知らされる。いちいちキャップの開け閉めしていたのは結構な手間だったのだと。
ただその快適さを得るために、ややこしい機構が存在していることを忘れてはならない。ペン先を保護するためのシャッター機構があるわけで、そのために犠牲になっている部分があるということ。
キュリダスの場合はインクの補充がそれに当たるだろう。そこまでややこしくないとはいえ、分解に近い作業が必要になるのでそこはネックとなりそう。キャップの開け閉めに比べるとインクを補充する頻度はさらに少ないわけだから、どちらを取るかという話になりそうだが。
ちなみにコンバーターはこれを使っている。
ペン先の掃除
ただお手入れの面でペン先のシャッター機構のメンテナンスが必須である。
お手入れ用のシリコンオイルが付属していて、これを一滴綿棒にたらしてシャッターの掃除をしなければならない。これを怠るとインクがすぐに乾くようになってしまう。
もっともこのお手入れはペン先が乾くようになったらやるくらいでいいのかもしれない。
普段使いにもってこい
一般的な万年筆に比べてメンテの手間があるものの、圧倒的に使うときが便利になる。片手でさっと筆記に入れるのは、万年筆を使い始めて長らく忘れていた感覚だ。
一部部品にプラスチックが使われており耐久性の面で気になるものの、普段遣いの万年筆としてオススメできる一品だ。
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たとえば複写式の書類を書くときにはさすがに万年筆は使えないだろう。 ↩︎
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