長編形式のビブリア古書堂の事件手帖4を読んだ

ビブリア古書堂の事件手帖4 〜栞子さんと二つの顔〜
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今までで一番好きになれないけれども、その理由がわかった気がする。

ビブリア古書堂の事件手帖第4巻を読みました。

いう内容でした。それくらいに集約してしまうほど、実のところあまり楽しめなかったんですよね。

なぜ楽しめなかったのだろうと考えてみたところ、今までのシリーズの中で引っかかってた所も含めてなんとなくわかった気がします。

長編で意外性が感じられない

第4巻は1冊で1つのエピソードとなっています。江戸川乱歩をめぐる話で、とある依頼人から受けた「金庫を開ける」というのがメインストーリーとなります。

金庫を開ける過程でさまざまなサブエピソードが絡んでくるのですが、すべてはこの「金庫を開ける」という目的のための話になります。

今まであれば個別のエピソードが独立していました。だから、一見無関係に思えたエピソードが、意外な関連性を持って最後に繋がっていく楽しみがありました。ビブリアの1巻で感じた面白さがまさにそれです。

しかしこの4巻では1冊で1つのエピソードなので、最終的につながることが目に見えており、意外性が感じられません。だから驚きが感じられずにつまらなく感じたのだと思います。

そもそも謎解きが楽しめていなかった

ものすごいそもそも論なのですが、私はビブリア古書堂の事件手帖における謎解きがあまり好きではないようです。栞子さんの謎の解き方が、どうにも焦らすだけじらして、最後に唐突に回答をつきつけてくるように感じてしまうのです。尺の都合上仕方のない面もあるのかもしれません。

ミステリの楽しみ方は人それぞれでしょうが、私は推理に参加させてくれるような作品が好きです。物語の登場人物たちが推理する過程を描いていてくれると、自分も読みながら自然と推理に参加してしまいます。なのでそういったミステリは好きです。

それを考えると、ビブリア古書堂の事件手帖は過程をすっ飛ばして答えだけ告げられるような感じがして楽しめないのだと思います。

よく考えて見れば、私が好きだと感じていたエピソードは謎解きがメインではなく、人間ドラマがメインなところがあったように思います(坂口夫妻のエピソードとか)。4巻にも人間ドラマがないわけではないのですが、謎解きの部分のウェイトが大きいのは否めないです。

かなり初期の頃から、やたらと犯罪と絡めて物語が展開することにも違和感を持っていました。もっと地味な話でじっくり展開してくれたほうがいいのにと思っていました。その理由がこれでしょう。本を読まない私にとっては、事件の重大さや謎の深遠さよりも、それを取り巻く人間ドラマの方が楽しめるのです。

本についてあまり知らない

私があまり本を読まないものですから、本書に出てくる古書のほとんどを知りません。唯一の例外が第3巻に出てきた「たんぽぽ娘」くらいです。(もっとも、これも読んだことがあるわけではなく、引用されたセリフを知っていたというだけですが)

そんな本があるのか、読んでみようかななんて思うことはあっても、本が出てくることで親近感をもつことはありません。これは本書で出てくる書籍を読んだことがある人だと、逆に親しみを覚えて物語にのめり込めるいいポイントだと思います。

本に馴染みがないのは、謎解きの部分にも影響してきます。栞子さんの解説パートが始まると、「はあ、そうなんですか」と置いてけぼりを食らったかのように感じてしまうのです。

本のこととなるとからっきしダメだけど、栞子さんのこととなると名探偵となる五浦大輔とか、キャラクターは嫌いじゃないんですけどね。この本は謎より人間ドラマにフォーカスした方が面白くなるんじゃないかなぁと思いました。

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