「ひらがな」で話す技術を読んだ感想
人と会話をしていて、「この人の話は分かりやすいな」という人と、「何を言っているのかよく分からない」という人の違いは何なんでしょうか?
そんな違いを紹介しながら、口で物ことを分かりやすく伝えるための技術を紹介している本、それがこの「ひらがな」で話す技術です。
人は声を「ひらがな」で聞いていて、それを漢字に変換して意味を理解しているので、分かりやす口で伝えるにはひらがなで話す技術が大切なのだということです。
たとえば「たいふういっか」と聞いて台風一家と変換して、台風の集団がやってきていると勘違いしたり。たとえば「でんしゃがふつうです」と聞いて電車が普通ですと変換して、いや電車は普通だろと勘違いしたり。これが文章で台風一過、電車が不通と書いてあれば勘違いは起こりません(漢字間違えてるじゃねえかと勘違いすることはあるかもしれませんが)。
会話の内容が分かるまでのステップ
会話で伝えることを細かく段階を区切ってみると次のようになります。
- 話し手が伝える内容を考える
- 話し手が声に出す
- 聞き手が声を聞く
- 聞き手が聞こえてきた音声を漢字に変換する
- 聞き手が意味を考える
- 分かった!
確かに自分が聞き手である場合、頭の中で言葉を漢字に変換しているなと分かります。こうやって分解して提示されると分かりやすいですね。
こうして分解して考えてみると、口で物ことを伝えるために重要なポイントは、3つに分けられます。
- 伝える内容をいかに分かりやすく組み立てるか
- 声をいかに正確に相手に伝えるか
- 聞き手の漢字変換のステップをいかにつまづかせないようにするか
本書はこの3点についての技術について解説しています。
なぜ本書のタイトルが「ひらがな」で話す技術なのかは、この2。と3。がポイントだからで、聞き手は音声をひらがなで聞いているからなのです。相手がひらがなで聞いているのだから、同じようにひらがなをうまいこと使って、分かりやすく伝えるための工夫をしましょうという本です。
会話は後ろに戻れない
文章で伝える場合と声で伝える場合の大きな違いは、後ろに戻れるかどうかです。
文章の場合、読み手が「これどういうことかな?」と疑問に思った場合、つまったところの前の文章を読み返してその意味を考えることができます。
それに対して声ではそれができません。聞き手が「どういうことかな?」とつまづいてしまっても、相手の話を遮って聞き返すしかありません。
相手に聞き返すことができる1:1のような状況であればそれですみますが、プレゼンを聞いている状況など相手の話を遮ることのできない状況もあります。そのような場合ではさらに最悪です。「どういうことかな?」と考えている間にも話はずんずん先へ進んでいきます。詰まったところが分からないだけでなく、そこから先の話は右から左へ抜けていって余計に分からなくなってしまいます。悲しいことにつまづいたらそこで試合終了です。
こういう経験は、プレゼン、学校の授業、講演会など、さまざまな場面でみなさん経験があるのではないでしょうか?
そういう経験があるからこそ、この本に書いてある内容が非常によく分かりました。
声がうまく伝わらない
ところで、みなさんしゃべるのは得意でしょうか?
ちなみに私はしゃべるのは苦手です。大きい声を出すのが苦手ですし、そもそも声がとおりにくいので相手によく聞き返されてしまいます。
実はこの本に、そういったしゃべるのが苦手な人、声がうまく通らない人について書かれている部分があります。量的には少ないのですが、個人的に非常にためになる部分でした。
どんなに話す内容を工夫して分かりやすく言葉にしたとしても、口で伝える以上声を出すことは避けては通れません。そして肝心要の声が相手にうまく伝わらないのでは、どんな技術も役に立たなくなってしまいます。
しかしちゃんと声を出すことについても技術がありました! しかもとても簡単なことで、前歯を出すのを意識してしゃべるだけです。
声が通らない人と通る人の違い
声をだすのが苦手な人というのは、過去の経験から心に傷を負ったりして、声を出すのに抵抗を持っている人が多いのだそうです。そしてそういう人は、しゃべるときに表情の変化が少なかったり笑顔がなかったりで、上唇が前歯を覆っているのが特徴なんだそうです。
それに対して声がよく通る人は、表情が豊かで、笑顔で話していることが多い。違いは上唇にあったのです。
ですので、声が通らないという悩みを持っている人は、前歯を出してしゃべることを意識してみてください。実際に試してみると違いが分かると思います。
これを知ることができただけでも、この本を読んだ価値があるなと思いました。
この本にはうまく声を出すことのできない、しゃべるのが苦手な人に対して光を与えてくれるような気がします。(ちょっとおおげさかな?)
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