アニメもいいけど原作も良かった、響け!ユーフォニアム

響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ
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アニメの中川先輩は至高

本の紹介をするのにどの程度その内容に触れるか。これは結構頭を悩ませる問題です。なぜかというと、私自身がネタバレされるのを好まないからです。本に限らず、アニメでもゲームでも。先がわかってしまっていると、この先どうなるんだろうというワクワク感がありませんし、想像する楽しみもなくなります。

とはいえ、ネタバレされると楽しめないのかというと、必ずしもそうではないと思います。今回はアニメで内容は分かっているけど、それでも読みたいと思って手にとった「響け!ユーフォニアム」のお話です。

これはつい先日京都アニメーションによるアニメが終わった作品です。これがよくできたアニメでして、見てない人はぜひ見るべきだと思います。

アニメの完成度は非の付け所がありませんでした。それでいて原作も読みたいと思ったのは、登場人物たちの内面をより深く知れるのではと思ったのです。音楽を題材にした内容ですから、実際に音が使えるアニメが素晴らしいのは当然として、原作ではそこをどうカバーしているのか。キャラクターの心理面の描写で、新たな発見があるのではないか。そんなことが気になったのです。

要するに、アニメにどっぷりはまってしまったので、もっとこの作品を味わいたいと思ったわけですね。

あすか先輩マジ怖い

原作を読み終えて感じたのは、アニメ化にあたって再構成されている部分がとてもいい味を出しているなということでした。原作の方はかなりあっさりと物語が進んでいくなぁという感想を持ちました。

あのエピソードはアニメで追加されたものだったのか。そういった「アニメとの違い」を探しながら読むのも楽しいと思います。

アニメが良かったのは間違いありませんが、原作は原作で久美子の感情面がうまく表現されていて惹き込まれました。部員たちや部活に対する感情だったり、秀一に対する感情だったり。特に秀一が久美子をあがた祭に誘うシーンの描写、心の動きの機微がよく表現されてて良かったです。

というのもこの原作、地の文が三人称です。私が三人称で描写される小説読むことが少ないだけなのかもしれませんが、珍しいなと思いました。ですが三人称だからこそなのか、妙に物語に惹き込まれました。ヘタに一人称で感情を説明されるより臨場感が感じられたからかもしれません。基本的に第三者視点で描かれていたと思ったら、ふと久美子に憑依する地の文。その切り替えに自分も久美子に入り込んだかのような錯覚を覚えました。

そしてだからこそ、そこで描かれるあすかの異様さにとても驚きました。アニメ見て私の抱いていた「あすか」像は「単なる変な人」くらいの印象でした。しかし原作読むとめっちゃ怖い。アニメでも底が見えない人物として描かれていましたが、原作ではもはや「別次元のイキモノ」みたいに感じました。アニメでも「この人の仮面は剥がせそうにない」みたいなセリフがあったように思いますが、原作を読むことで、なぜそんなことをいうに至ったかが理解できた気がします。

私はアニメから知って原作を読むことはめったにしない人ですが、今回は読んで正解でした。登場人物がほぼ関西弁をしゃべっているので最初は面食らうかもしれませんが、「アニメで見たからいいや」って思っている人にも読んでほしいなぁと思いました。

アニメと原作どっちがいいかといわれると、私はアニメを推します。ですが、原作は原作の方でいい味出してると思います。

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